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Channel: @jsakamoto
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Azure Functions (.NET 6) のプロジェクトで、NuGet パッケージ参照のバージョンを上げたらエラー

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殆ど "塩漬け" 状態にあった、ここ暫く放置に近かった Azure Functions のプロジェクト (.NET 6.0) があったのだが、つい先日、訳あって変更保守の機会が発生した。


久しぶりにその Azure Functions プロジェクトを Visual Studio で開いたので、ついでに参照している NuGet パッケージのバージョンを確認した。すると、すっかり忘れていたのだが、ユーザーシークレットを扱うための NuGet パッケージ "Microsoft.Extensions.Configuration.UserSecrets" のバージョンが、今や Deprecated とマークされている 5.0 のままだった。


そこで "Microsoft.Extensions.Configuration.UserSecrets" NuGet パッケージの参照バージョンを現時点での最新バージョンの 7.0 に更新した。その上で動作確認のため、ひとまずこの開発環境で Function を実行してみた。
すると予期しなかったことに、下記実行時エラーが発生した。


Could not load file or assembly 'Microsoft.Extensions.Configuration.Abstractions, Version=7.0.0.0, Culture=neutral, PublicKeyToken=adb9793829ddae60'. The system cannot find the file specified.


アセンブリ "Microsoft.Extensions.Configuration.Abstractions" は、"Microsoft.Extensions.Configuration.UserSecrets" の依存関係で必要とされているアセンブリである。それのバージョン 7.0 が見つからない、というのだ。慌てて出力フォルダ (./bin/Debug/net6.0 ) を確認するも、アセンブリファイル "Microsoft.Extensions.Configuration.Abstractions.dll" はしっかり存在するし、そのプロパティを確認しても、ちゃんとバージョン 7.0 である。普通に考えれば "見つからない" などというはずはない。



ネットで検索したりしつつしている内に、はたと思い至った。この Azure Functions プロジェクト、"インプロセス" で実行されているのだ。
.NET による Azure Functions には、その実行形態として、"インプロセス" 実行と "分離ワーカープロセス" 実行の 2 形態がある (下記リンク先参照)。


とくに "インプロセス" 実行の場合は、まずは Azure Functions のホスト .NET プロセスが実行されている状態から、自分が作った Azure Functions プロジェクトのアセンブリが読み込まれ、そこで実装されている静的メソッドが呼び出される仕組みである。そして、どうやら、その Azure Functions のホストプロセスが、既に Microsoft.Extensions.Configuration.Abstractions アセンブリのバージョン 6.0 をプロセス内に読み込んでいる、ということらしいのだ。


いっぽうで、自分がビルドした Azure Functions プロジェクトのアセンブリは、バージョン 7.0 の Microsoft.Extensions.Configuration.Abstractions とリンクされているので、Azure Functions のホストプロセス内のアセンブリリゾルバに、同アセンブリの解決を求めることになる。


しかし当然のことながら、同じプロセス内でバージョン違いの複数のアセンブリを同時に読み込むなんてことは、アセンブリリソルバをカスタマイズしない限りできないわけで (ホストプロセスは既にバージョン 6.0 を読みこんで絶賛稼働中なわけなので)、それで件の実行時例外に至った、と、こういうことらしい。


今回、NuGet パッケージの参照バージョンを変更する前は、自分の Azure Fuctions プロジェクトは、バージョン 5.0 の Microsoft.Extensions.Configuration.Abstractions とリンクしていた訳だが、すでにホストプロセスに読み込まれている同アセンブリのバージョンがより高いバージョンであるぶんには、バージョンの転送の仕組みにより (一般的に、より高いバージョンは、より低いバージョンに対して下位互換があるので)、動作していたのだろう、と認識している (この点の自分の理解はちょっと怪しい)。


さておき、解決策としては、この Azure Functions プロジェクトを "分離ワーカープロセス" 版に作り直すか、あるいは参照している Microsoft.Extensions.Configuration.UserSecrets のバージョンを 6.0 にまで引き下げることになる。今回の Azure Functions プロジェクトでは、"分離ワーカープロセス" 版に変更する理由も自分には特に思いつかなかったので、とりあえず Microsoft.Extensions.Configuration.UserSecrets のバージョンを 6.0 に指定することで対処した。





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